2018/06/16 22:16
とご質問頂くことが多いです。
大量生産された既製品のパーツを繋ぎ合わせるアクセサリーは巷に数多く、もちろん素敵なものは沢山ありますが、
moyreの作品は、モチーフ一つ一つを全てオリジナルで生産しています。
こちらでは、袖のデザインや手の表情が一つ一つ違う「ペンを持つ手のピンズ」シリーズを例に、
作品が出来るまでの全工程をお伝えしたいと思います。
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①デザイン
かたちのきっかけは、ふとした思いつきから始まることが多いです。
複雑な形の場合、まずは作りたいデザインをイラストに起こしてみます。
しかし私は絵がそれほど得意ではないので、実際は、勘を頼りにいきなり造形に入る事も多いです。
②原型作り

作りたいイメージが決まったら、全てのベースになる形を「ワックス」という素材で作っていきます。
「ワックス」はロウソクのような素材です。
数種類のワックスを使い分け、削ったり溶かしたりして形を作ります。
③原型鋳造
ここから、上述のワックス原型を金属に変身させる魔法をかけます。
・・が、高温を伴う危険な作業なので、私は信頼のおける専門業者さんに依頼しています。
(ここからは企業独自のやり方となるので、画像はあくまでイメージです)
※画像はお借りしたものです。

ワックスで作った原型を、他の依頼品と一緒に写真のようなツリー状にまとめます。





このように、前述のロストワックスとは「ワックス」を「lost」し、
出来た空洞に金属を流し込む技法であることがお分かりいただけるかと思います。
④原型の仕上げ

仕上がった原型を業者さんから受け取り、不要な部分を削ったり、テクスチャーを付けて調整します。
これで基本の原型の完成です。
⑤ゴム型取り

原型をシリコンゴムで包み込んでゴム型を取り、基本の形を量産できるようにします。
⑥インジェクションワックス流し

ゴム型に溶かしたインジェクションワックス(②のワックスより溶けやすく弾力のあるもの)を流し込むと、原型と同じ形が出来上がります。
何度も流し込んで、同じものを沢山作ることが出来ます。
⑦装飾

ワックスで量産した先述のモチーフに、袖の装飾を一つ一つ加えます。
この装飾の違いが作品のオリジナリティとなるため、一番力を入れているところです。
手の皮膚部分にもテクスチャーを加え、個性を吹き込んでいきます。
手作業なので同じものは作れません。
⑧再び鋳造
装飾後のワックスを業者さんに預け、③の工程で再び鋳造。
今回は金色の真鍮素材で依頼しています。
⑨鋳造上がり

ようやく作品らしくなってきました。
袖の模様や手の質感を変えて5種類作ってみましたが、どれも違うキャラクターに思えてきます。
⑩針のロウ付け

ピンブローチにするための針をロウ付け(溶接)します。


青い炎で炙ります。
熱し過ぎると変色したり溶けたりするので注意が必要。
温度を感覚的に調整しながら、垂直に針をくっつけます。緊張で手が震えることも。
ロウ付けは金属を金属でくっ付けるので、接着剤よりもはるかに強度が高いです。
⑪磨き

数種類(時に十数種類)の道具と研磨剤を使って、リューターという機械で磨きます。
作品によって、自分が映り込むくらいピカピカにしたり、敢えてマットに仕上げたり、様々です。
作品の質が左右される、まさに命を吹き込む工程です。
⑫超音波洗浄
最後に超音波洗浄機で研磨剤の汚れを落とします。
⑬完成

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以上です。
長くなりましたが、このように、沢山の工程を経て作品が完成します。
途中で鋳造作業を担ってくれる業者さんも大切なパートナーです。
時間も手間もかかりますが、ちょっとずつ現れてくる作品の個性を感じながら完成を見届けるのは、作り手ゆえの喜びでもあります。
お客様にとっても、工程が見えることで愛着や安心感が深まる事もあるのではないかと思い、このようにお伝えすることにしました。
イベント直売の際も、興味があればご説明させていただきますので、気軽にお声掛け下さいませ。
2018/6/16
moyre.